ギリシャ正教の葬儀
ギリシャ正教会の葬儀は、埋葬式と呼ばれ連祷と無伴奏声楽の聖歌から構成されています。ギリシャ正教の葬儀は信徒のためのものであって、未信徒の為には行われませんが、参祷することは信徒・未信徒の別を問わず、教会から奨励されています。永眠者は未信徒の場合に異教人のパヒニダ(通夜)を以てこれに代える事があります。また正教会の聖歌は無伴奏声楽が原則となっています。パニヒダは正教会において初代教会から大事にされた伝統であるとされ、そもそも「パニヒダ」の語源が「夜通しの祈り」という意味であるため、パニヒダを通夜と呼ぶ事もあまり忌避されません。ギリシャ正教では土葬が基本なのですが、日本正教会では諸々の事情により止むを得ず火葬が行われています。
正教会の礼拝は立って行うことが基本となります。起立する姿勢は伝統的に「復活の生命に与って立つ」ことを象徴するとされており、そのため司祭・輔祭・聖歌隊は勿論、参祷者も埋葬式の間は継続して立ち続けなければなりません。身体障害者や高齢の参祷者などやむおえない場合にかぎり着席が許されています。また正教会でも香炉は用いられて大切な習慣と位置付けられていますが、振り香炉を扱うのは司祭と輔祭であり、参祷者が香炉に触れる事はありません。また参祷者が永眠者と対面する際に、棺への献花の習慣があります。基本的には埋葬式の後半に献花が行われ、参祷者は係の者から受け取った花を棺の中に入れます。この時、聖歌が歌われていることが多いようです。
埋葬式は、輔祭もしくは司祭が、永眠者の霊の安息を祈願する祈祷文を朗誦して始まり、聖歌隊が「永遠の記憶」という詞を三回繰り返し歌うい終了します。神が永眠者を記憶する祈願であり、かつ参祷者が永眠者を記憶し続け、永眠者の為に祈り続けることを促すものとされます。聖堂から火葬場へ向う出棺時は聖堂から霊柩車まで親族や親しい人々が棺を担ぎます。その際には聖歌隊が「聖天主(せいてんしゅ)、聖勇毅(せいゆうき)、聖常生なる主(せいじょうせいなるしゅ)、我等を憐れめよ。」と歌いながら先導することになっています。ロシア正教会などでは聖堂での埋葬式が終わった際にそのまま墓場まで棺を運ぶのが一般的で、墓場まで継続して詠隊がこの聖歌を歌いながら先導する事が多いのですが、日本での場合は霊柩車に納めるまで歌われることが多い。また日本正教会の府主教座教会である東京復活大聖堂(ニコライ堂)をはじめとして、出棺時に普段とは異なる埋葬式専用の旋律で鐘をつく習慣がある教会も存在します。
正教会では「逝去」「無くなられた」「故人」という呼び方はせず、それぞれ「永眠」「永眠された」「永眠者」という言葉が使われます。これは、正教会においては死は来世の復活の生命に与るまでの一時的な眠りという考え方からです。
